「漢字は書けるし音読もできるのに、読解問題になると点が取れない」「算数の計算はできるのに、文章題になると手が止まる」「問題文を読み飛ばして、聞かれていないことを答えてしまう」——読解のつまずきについて、こうしたご相談をよくいただきます。本人なりに読んでいるのに結果が出ないため、「ちゃんと読んでいないだけ」と見えてしまいやすいのも、この悩みの難しいところです。
まずお伝えしたいのは、読み取りの苦手さは「国語という一教科の問題」ではないことが多い、ということです。理科も社会も算数も、問題文を読んで答える形で出される以上、読み取りの苦手さは全教科の点数に影響します。逆に言えば、ここに手を入れられると学習全体が動きやすくなります。読書量が足りないから、と片づけずに、どこでつまずいているのかを一緒に見ていきましょう。
「読めない」の中身はひとつではない
ひとくちに読解が苦手といっても、つまずいている場所はお子さまによって違います。文字を音にすること自体に負担が大きく、読むだけで力を使い切ってしまう子。文字は滑らかに読めるのに、読んだ内容が頭に残らない子。一文ずつは理解できても、段落どうしのつながりや話の流れを組み立てられない子。書かれていることは読めるのに、気持ちや理由など「直接書かれていないこと」を推し量るのが苦手な子——どれも「読解が苦手」に見えますが、必要な手立ては別物です。
発達特性のあるお子さまでは、一度に覚えておける情報の量に負担がかかりやすく、長い文を読むうちに前半の内容が抜けてしまうことがあると言われています。また、注意が持続しにくいために途中から目が滑る、文字の細かい情報を追うことに負担がある、言葉を字義通りに受け取りやすく比喩や心情の読み取りが難しい、といった特性が背景にあることもあります。「やる気がない」「読書をしてこなかったから」と結論づける前に、どの段階で負荷がかかっているのかを見ることが、遠回りに見えて一番の近道です。
家庭でできる7つの手立て
① 読む前に「何を探すか」を決めてから読ませる
最初から本文を読み始めると、どこに注目していいかわからないまま最後まで進んでしまいます。先に設問を読み、「この文章から何を探すのか」をはっきりさせてから本文に入る——順番を変えるだけで、読み方がぐっと目的的になります。「登場人物の気持ちが変わったところを探そう」というように、探しものを一つに絞ってあげると取り組みやすくなります。
② 長文は「切って」読む
一気に読み通すことが負担なら、段落ごとに区切って、一つ読むたびに「今のところ、何の話だった?」と一言でまとめる練習が有効です。頭の中に置いておく情報が減るので、最後まで内容が残りやすくなります。慣れてきたら、段落の横に自分でひとことメモを書き込む方法に移行していくと、テスト本番でも使える技になります。
③ 線を引く・印をつける場所をルール化する
「大事なところに線を引きなさい」だけでは、どこが大事かわからない子には難しい指示です。人物の名前は丸、気持ちを表す言葉は波線、『しかし』『つまり』などのつなぎ言葉は三角——といった具体的なルールを決めてしまいましょう。手を動かしながら読むことで注意が続きやすくなり、答えの根拠も探しやすくなります。
④ 算数の文章題は「絵か図にしてから」式を立てる
文章題でつまずく子の多くは、計算ではなく状況の把握でつまずいています。いきなり式を立てさせず、出てきた数と関係を簡単な図や絵にしてから式にする手順を固定してみてください。「わかっていること」と「聞かれていること」を別々に書き出すだけでも、解けるようになる子は少なくありません。
⑤ 読み上げ・音声を活用する
文字を追うこと自体に負担が大きい場合、読み上げ機能やオーディオブックで耳から入れると、内容の理解がぐっと進むことがあります。「耳で聞けばわかる」なら、理解力ではなく読む作業に負荷がかかっているというヒントになります。家庭学習では音声を併用し、読む練習は別の時間に少しずつ——と役割を分けるのも一つの考え方です。
⑥ 答え合わせは「正誤」より「どこに書いてあったか」を確認する
読解の力は、答えが合っているかよりも「本文のどこを根拠にしたか」を言えるかで育ちます。丸つけのときに「それ、どのへんに書いてあった?」と一問だけ聞いてみてください。根拠を指させたならそれは大きな前進です。指させないまま正解していた場合は、たまたま当たっただけの可能性があるとわかり、次の手が打てます。
⑦ 本人の興味のある題材で「読めた」を積む
苦手意識が強い子に、いきなり長い物語文を読ませるのは負担が大きすぎます。好きなゲームの攻略記事、興味のある動物や乗り物の図鑑、短いニュース記事——本人が読みたいものなら、同じ「読む」でも入りやすくなります。「短くても最後まで読めた」という経験の積み重ねが、長文に向かうときの土台になります。
やってはいけないこと
「ちゃんと読んでいないだけ」と決めつける/読書量を増やせば解決すると考えて量だけを課す/読解問題を数多く解かせて慣れさせようとする——いずれもつまずきの場所を見ないままの負荷になり、苦手意識だけを強めてしまいがちです。とくに音読の負担が大きい、文字が読みにくそうといった様子が続く場合は、学校の先生やスクールカウンセラー、専門機関に相談する道もあります。
「どこでつまずいているか」を見極めるところから始めます
読解の苦手さは、原因が一つではないぶん、合った手立てが見つかると変化が見えやすい分野でもあります。ダイヤモンド家庭教師では、お子さまが実際に問題を解く様子を隣で見ながら、読む作業そのものの負担なのか、内容を保っておくことの負担なのか、根拠を探す方法を知らないだけなのかを見極め、その子に合った読み方をマンツーマンで一緒に作っていきます。国語だけでなく、算数の文章題や理社の問題文まで含めて伴走します。診断の有無は問いません。オンラインにも対応しています。
よくあるご質問
Q.音読はすらすらできるのに、内容を聞くと答えられません。なぜでしょうか?
A.文字を声に出すことと、内容を理解して覚えておくことは別の働きだと言われています。音読に意識を使い切っていると、読み終えたときに内容が残っていないことがあります。まずは短く区切って、一段落読むたびに「今のところは何の話だった?」と確認する読み方を試してみてください。耳で聞くと理解できるようであれば、読む作業のほうに負担がかかっているサインと考えられます。
Q.読書をさせれば読解力はつきますか?
A.読書は語彙や文章に触れる機会として役立ちますが、読書量だけで読解の点数が上がるとは限りません。テストの読解は「設問の意図を読み取り、本文から根拠を探して答える」という別の作業を含むためです。読書は本人が楽しめる範囲で続けつつ、設問の読み方・根拠の探し方は別に練習するのが現実的です。嫌がる子に読書を課すと本ごと嫌いになってしまうこともあるため、無理のない量から始めてください。
※ 本記事は学習支援の現場経験に基づく一般的な情報であり、医学的な診断・助言を行うものではありません。お子さまの発達や健康に関するご心配は、医療機関・専門機関にご相談ください。
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