「テスト前日に一緒に確認したときは言えたのに、当日には出てこない」「英単語を20回書かせても、次の日にはきれいに忘れている」「社会だけが極端に点が取れない」——暗記に関するご相談は、学年が上がって覚える量が増えるほど深刻になっていくテーマです。やってもやっても結果に出ないため、お子さま自身が一番先に「自分は頭が悪い」と思い込んでしまいやすい領域でもあります。
けれど、覚えられない状態の多くは、記憶する力そのものよりも「どう覚えようとしているか」に原因があると言われています。書いて覚える、眺めて覚える、といったよくある方法は、実はかなり多くの子にとって効率のよくないやり方です。特に発達特性のあるお子さまでは、その子に合う入り口が別のところにあることも珍しくありません。この記事では、暗記につまずく背景と、家庭で試せる具体的な方法を整理します。
「覚えられない」の背景にあること
同じ「暗記が苦手」でも、つまずいている場所は子どもによって違います。お子さまの様子を思い浮かべながら読んでみてください。
- 覚える作業が「写す作業」になっている——書いている間、頭の中で意味を思い浮かべていない。手は動いているのに記憶には残らない、という状態です
- 意味がわからないまま音だけ入れようとしている——特に社会や理科で、内容を理解しないまま語句だけ覚えようとすると、覚える量が実質的に何倍にもなります
- 一度に扱う量が多すぎる——50語をまとめて一周するより、10語を5回まわすほうが定着しやすいと言われています
- 思い出す練習をしていない——見て確認するだけで終わっており、「隠して言ってみる」工程がない。記憶は思い出そうとしたときに強くなります
- 覚えた直後にしか確認していない——その場では言えるので覚えたと判断してしまい、翌日以降の確認が抜けている
- 興味のあることは驚くほど覚えている——ゲームやアニメの情報は詳しい場合、記憶する力の問題ではなく、関心と結びついていないことがつまずきの中心である可能性があります
最後の項目に心当たりがあるご家庭は多いと思います。特定の分野については膨大な情報を覚えているのに教科書の内容だけ入らない、という様子は、発達特性のあるお子さまによく見られると言われています。この場合に必要なのは、覚える根性ではなく、覚えたい状態に近づける入り口の工夫です。
家庭でできる7つの覚え方
① 「書く」より「隠して言う」に変える
暗記でもっとも効果が出やすいのは、答えを隠して思い出そうとする時間です。赤シートでも、手で隠すだけでも構いません。20回書く時間があるなら、5回書いて15回言ってみる、という配分に変えるだけで結果が変わることがよくあります。思い出せなかったものにだけ印をつけ、そこを繰り返します。
② 一度に扱う量を10個までに区切る
量が多いと、最初と最後しか残りません。10個を1セットにして、そのセットを完璧にしてから次に進みます。全体を薄く何周もするより、小さいまとまりを確実に積むほうが、達成感も得られて続きやすくなります。
③ 覚えた翌日にもう一度だけ確認する
記憶は時間が経つと薄れますが、薄れかけたところでもう一度思い出すと定着しやすくなると言われています。翌日に3分だけ、前日の分を隠して言ってみる時間を作ってください。新しく覚える時間を減らしてでも、この復習を入れたほうが総量は増えます。
④ 意味とセットにする・声に出す
語句だけを覚えようとすると引っかかりがありません。「なぜそうなったのか」「どんな場面で使う言葉か」を一言添えるだけで、思い出す手がかりが増えます。声に出す、変な節をつけて言う、といった方法も有効です。ふざけているように見えても、記憶に残るのであれば正しいやり方です。
⑤ 目で覚えるか、耳で覚えるかを見極める
図や色、位置で覚えるのが得意な子と、音やリズムで覚えるのが得意な子がいます。前者なら図解や色分け、貼り紙が効きます。後者なら音読、録音した自分の声を聞く、といった方法が合います。どちらが楽かは本人に聞くのが一番早く、「どっちのほうが覚えられた気がする?」と一度尋ねてみてください。
⑥ 覚える場所を教科書からテスト形式に変える
教科書やノートを眺める時間は、覚えた気持ちになりやすい割に定着しません。問題集やワーク、一問一答の形にして「問われる形」で触れるほうが、本番で出てくる状態に近づきます。学校のワークをコピーして2周目を作るのは、手間の割に効果の大きい方法です。
⑦ 覚えられた量を目に見える形にする
暗記は成果が見えにくく、途中でやる気が切れやすい作業です。覚えたカードを別の箱に移す、チェック欄を塗りつぶすなど、進んでいることが目で見える形にすると続きやすくなります。特に集中の持続に負担があるお子さまでは、この工夫が取り組みそのものを支えます。
やってはいけないこと
書き取りの回数を増やして量で解決しようとすること/「昨日やったでしょう」と忘れたことを責めること/覚えられるまで終わらせないと決めること/きょうだいや友だちの覚える速さと比べること——いずれも、暗記そのものへの拒否感を強めてしまいやすい対応です。忘れるのは当たり前の現象で、忘れた回数の分だけ思い出す機会があった、という受け取り方のほうが結果につながります。回数を増やす前に、まず「隠して言う」「翌日に確認する」の二つが入っているかを見直してみてください。
その子に合う覚え方を、一緒に見つけられます
ダイヤモンド家庭教師では、発達特性のあるお子さまや不登校のお子さまに、マンツーマンで指導を行っています。暗記につまずいているお子さまには、まず今どうやって覚えようとしているのかを一緒に確認し、目で覚えるほうが合うのか耳で覚えるほうが合うのか、どのくらいの量なら最後まで持つのかを、実際に試しながら見つけていきます。合う方法が一つ見つかると、他の教科にもそのまま応用できることが多く、勉強全体の負担が下がります。毎回の指導記録をお渡ししていますので、ご家庭での声かけにもお使いいただけます。まずは無料相談で、今の勉強の様子をお聞かせください。
よくあるご質問
Q.ゲームのキャラクター名は何百も覚えているのに、英単語だけ覚えられません。なぜでしょうか?
A.記憶する力そのものに問題があるわけではない、と考えてよい場面が多いです。違いは、そこに関心があるかどうかと、日常的に何度も思い出す機会があるかどうかです。ゲームの情報は本人が繰り返し使い、思い出す場面が自然にあります。英単語も同じ状態に近づけることが対策になり、具体的には一度に扱う量を減らして繰り返す回数を増やす、意味や場面とセットで覚える、といった工夫が効きます。「好きなことなら覚えられるのに」という言い方は本人を追い込みやすいので、覚え方の問題として一緒に扱っていただくとよいと思います。
Q.テスト前日に詰め込むやり方しかできていません。変えたほうがよいでしょうか?
A.前日にまとめて覚える方法は、短期的には点が取れることもありますが、テスト後に残りにくく、入試のように範囲が広い場面では通用しなくなります。ただ、いきなり計画的な方法に切り替えるのは負担が大きいので、まずは「テスト2日前に一度だけ通す」といった小さな追加から始めるのが現実的です。前日にゼロから覚えるのではなく、一度触れたものを思い出す形になるだけで、当日の負担がかなり変わります。
※ 本記事は学習支援の現場経験に基づく一般的な情報であり、医学的な診断・助言を行うものではありません。お子さまの発達や健康に関するご心配は、医療機関・専門機関にご相談ください。
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